本とは、束ねた時間と空間。なんでも束ねたら本になる。そんな考え方から「新しい本」の概念を拡張するようなイベントを開催した。まずは、遊学館のエントランスホールで1日限りの本の市「ブックトープフェス」。同時に「図書館を使ったワークショップ」も実施した。
森岡督行さんの課題は「伊藤忠太」「黒川紀章の山形ハワイドリームランド」「藻が湖」について調べてくる。空閑理さんは「ロングライフデザインな山形」を探してみる。粕川ゆきさんは、中庭を眺めるピロティで「わからん詩朗読会」。図書館の方に調べ物をお手伝いしていただききながら、無事に全員結果を発表。未知なる山形を発見することができた。
そして、閉館後の夜の図書館に会場を移して「ブックトープトーク」を開催。東京、富山、静岡、青森、仙台などから約80人が参加。参加者に「本×○○」という用紙を配付し、自由に街を盛り上げる本を使ったアイデアを書き込んでもらい、発表しながら話を進めた。すると、驚くようなアイデアが続出した。
「本×落とし穴」「本×芋煮会」「本×発酵」「本×温泉」「本×たむろす」「本×発電」「本×仙山線」「本×神社」など約30名がビックリするような新しい提案を発表、会場を湧かせてくれた。特に人気があったのは「本×コインロッカー」。コインロッカーに地元のことが書かれた貸し本が入っているという斬新なアイデアだった。インターネットやテレビなどにある情報は、ほとんどが二次利用、三次利用されて使い回された情報だが、街に集まる情報はつねに新鮮だ。そして、街と本をつなぎ合わせると情報が自然に培養され、「情報ビオトープ」のような状態が生まれる。本も街もみんなで育てるもの。たくさんの方々の知恵を集めて、「本の街 山形」をつくることも夢ではないと感じた。
(ナカムラクニオ)